ドイツからの帰国子女が日本の学校制度で驚くことは、まず第一に、15歳までは基本的に皆同じ勉強をすることでしょう。日本には私立小学校や私立中学校もありますが、そうした私立の義務教育を受ける子供はごく少数派であり、ほとんどの子供は公立学校で義務教育を受けます。その期間中は、皆同じ勉強をすることが大前提となっていて、能力別編成クラスも、飛び級も、選択科目もありません。15歳まで、わが国の子供は皆等しく同じ学習内容となります。
しかしドイツでは、同じ学習内容であるのは10歳までです。両国とも6歳から学校に通い始めますので、その後4年で進路が決まる国と、9年で進路が決まる国ということになります。4年と9年というのは大きな違いです。大人から見ても違いの大きさを痛感するほどですから、ましてや帰国子女は驚くことでしょう。
海外子女にとって、わが国は猶予期間が長いと感じられるかもしれません。しかし、小学校に入学してからわずか4年で子供たちに進路を決めさせるというのは性急だという考え方もあるでしょう。わが国の国民の基礎学力が総じて高いのは、15歳まで皆同じ学習内容を習得することが義務付けられているから、というのはあるわけです。